成功談と失敗談


書店のビジネスコーナーに経営や営業の成功談の本が数多くある。それに携わる人ならタイトルを見て手に取って見るだろう。誰しも成功することに興味のない人はいない。確かに買って読んでみると参考になる意見が多い。だが、その本を買って読んで成功した人は一体いるのだろうか?そこに書かれている通り実行したら成功した、なんて事が実際あるとしたら会って話を聞きたいと思う。世の中そんなに甘いものではないし、本当に成功するならそう言う法則が本にしなくても世に知れ渡るだろう。そうしたら成功談の本は売れなくなる。逆の見方をすれば成功しないから本が売れるのではないだろうか?本を出すと言う事はその物自体が商売である。成功者を多く輩出したくて出版するのでなく多くの人に買ってもらう、そして儲ける、そのために本を出版しているのである。それには多くの人の心を惹きつけなくてはならない。私も今日までに多くの成功談の本を買って読んできた。感動もした、ヒントもつかんだ。然しすべてを真似て仕事に取り入れた事はない。そもそも成功した背景には色々な要素が含まれている。例えば時代、例えば場所や地域、例えば商品、そして何よりもやってる人間、これらがすべての人に当てはまる事はない。だから成功談は参考にはなるが、その通りには行かないと言うのが私の考えである。では失敗談はどうだろうか、失敗することは以外と法則があるような気がします。例えば商談の時間に遅れたら絶対に失敗するでしょう。二日酔いで酒の匂いがプンプンする状態で人に会ったら好印象はまず与えられない、不快感を与えるのみだ。儲かっていたので投資に手を出し失敗した、金遣いが良いので女が寄ってきて騙され失敗した、在庫を抱えすぎて倒産した、例を上げればキリがないが、失敗したという事はそうしなければ失敗しないと言う事でもある。当たり前のような事を本にしても売れないだろう。でも成功談よりも失敗談の方がより実践的である。それともう一つ言える事は何をもって成功と言えるだろうか。今日まで成功した人の本は随分読んできたが、その成功したという人の会社がその後に倒産をしている例も多い。日々の仕事の中で、何を求めて何をすれば良いのか、そんな中で人は何かを探そうとしているのであろう。だから成功談と言う本や講演が人気となるのであろう。